【枯れたみかんが復活！？】みかんが枯れる原因と復活方法を樹木医が伝授

植え付けて１年以内に枯れる原因はほとんどが次のふたつの場合です。

●水やりの不足

　苗木が枯れる一番の原因は水やりの不足です。

柑橘類は生育が旺盛です。その分苗木は乾燥に弱く、苗木が活着するまで（春に植えて梅雨時まで）は表土が乾いたらしっかりと（ジョウロ１杯分の４リットルぐらい）水やりを続けましょう。

●寒さで枯れた

　もうひとつの原因は寒さです。関東以南の平地であれば栽培は可能ですが、苗木のうちは成木ほど寒さに耐えられません。これは苗木のうちはまだ暖かい地中にしっかりと根付いていないからです。冬場の最低気温がマイナスになる地域では植え付け後1～2年は冬の間は寒冷紗で覆う、根元をマルチングするなどの防寒対策を行いましょう。

植え付けて２年以上経ってからの場合

植え付けて２年以上経ってから枯れた場合は次の３つの原因が考えられます。

●病害虫(カミキリムシやコガネムシなど)が発生した

　柑橘類は病害虫に強いので、病害虫が発生したからといって枯れるまでになることはめったにありません。ここでは木全体が枯れてしまうような病気と害虫について説明します。

　一般家庭の柑橘類で発生する重症化する病気には白紋羽病（シロモンパビョウ）があります。伝染性のあるカビが根を腐らせて枯らしてしまう病気です。木全体が萎れて落葉し枯れてしまいます。根を見ると白い綿状のカビが出ているので確認できます。土壌に病原菌が残るので同じ場所に苗木を植えるとまた発病して枯れてしまいます。次に苗木を植える場合は違う場所にうえるようにしましょう。

　害虫ではエカキムシ、カイガラムシ、アブラムシ、アオムシ（アゲハの幼虫）、ハマキムシなどが発生しますが、これらは木を枯らすことはまずありません。アゲハの幼虫に葉を全部食べられても大概枯れません。枯らすほどの被害をもたらす害虫はカミキリムシとコガネムシです。

カミキリムシの場合

カミキリムシは幼虫が幹内部を食い荒らします。ひどくなると幹内の水を吸い上げる管に穴をあけてしまい水が吸い上げられなくなって枯れてしまいます。幹に木くずが出ていたらカミキリムシの幼虫がいる合図ですのでカミキリムシ用の殺虫剤を木くずの出ている穴にスプレーして殺虫します。

コガネムシの場合

コガネムシは幼虫が根を食べます。幼虫が大量に発生すると細根が食べられてしまい、水や養分の吸収が十分にできなくなり、弱ったり枯れたりしてしまいます。鉢植えの植物では植え替え時に幼虫が見つかるので発見できますが、庭植えの場合は様子がおかしかったら枝先下あたりを掘って幼虫がいるかどうか確認してみてください。周囲の木に成虫が多くいる、周りが芝生（幼虫は芝生に好んでいる）の場合要注意です。幼虫が確認できた場合は土中の害虫を駆除する農薬「ダイアジノンSLゾル」を使用します。

●夏の強剪定

　柑橘類の剪定の適期は3月から4月です。この時期の強い剪定なら耐えることができます。しかし7月から８月にかけての夏場に強剪定すると枯れてしまう場合があります。この時期は元気そうに見えても新葉展開や開花のために樹体内のエネルギーが消費されて一番疲弊している時期なのです。このため強剪定されると回復する体力が足りず枯れてしまうことがあるのです。隣家の迷惑になっている場合などやむを得ず夏場に剪定する場合は最小限の剪定にとどめましょう。また柑橘類は寒さも苦手なので厳寒期の強剪定も控えましょう。

●除草剤(一番多い原因)

　実はこれが一番多い原因です。「クサノン」などの空き地や駐車場で使用する除草剤を庭で使用した場合が多いです。根から成分が吸収される除草剤は雑草だけでなく庭木も枯らしてしまいます。隣の駐車場でこれらの除草剤を使用した場合も影響が出ることがあるので注意してください。残念ながら除草剤が原因の場合は対処のしようがありません。